編集長の目

東久留米市「ひとハコ図書館」で選書

AYA-CTO

2022年から編集長・原田が東久留米市立図書館の「図書館フェス」に参加させてもらっていまして、今年もご依頼をいただきました。

参加というのは、「ひとハコ図書館」館長として選んだ本を展示していただくこと。地域の出版関係の人や編集者等いろいろな人が館長になって、一つの箱に入るだけの本を選びます。

9 月 14 日(土)~ 9 月 26 日(木)に開催された、2024年の図書館フェスでも「ひとハコ図書館」の選書をさせていただきましたので、それらの本をご紹介します。イベントは終了しましたが、WEBで「ひとハコ図書館館長」の紹介や選書への思い、『Q「図書館」「図書室」で思い出す物語や作品を教えてください。』へのアンサーなども記載されています。是非こちらもお読みください!

東久留米市立図書館 図書館フェス ひとハコ図書館

https://www.lib.city.higashikurume.lg.jp/soshiki/6/chuou-hitohako2024.html#hako07

図書館の名前:相談にのる図書館

選書

1 いきもの人生相談室
(小林百合子 著/山と溪谷社)

もしも人間の悩み事について、あの動物に相談したら…? ヒトの常識にとらわれないから、なんだか心が軽くなって面白い。短時間でさらっと読めてイラストもかわいいのがおすすめです。

2 気が軽くなる生き方
(加藤諦三 著/三笠書房)

相談といえばニッポン放送のラジオ番組『テレフォン人生相談』のパーソナリティを務める加藤諦三さん。社会学者、心理学者なのですが、悩んでいる読者の味方として話をするような書き方、悩ませるほうの人間をばっさり斬る辛辣(しんらつ)さが好き。本当に加藤先生に回答してもらっているような心強さを感じます。「ついいい人になろうとしてしまう」「ありのままに生きられない」と悩む人におすすめです。

3 だれにでも「いい顔」をしてしまう人 嫌われたくない症候群
(加藤諦三 著/PHP研究所)

こちらも「いい人になろうとしてしまう」人へおすすめ。というのも、一見いい人ほど我慢し、葛藤していることが多いからです。『嫌われる勇気』という本が話題になりましたが、嫌われたほうがラクなシーンはたくさんあります。「一見いい人」が「ずるい人」に付けいられて消耗してしまうということを加藤先生はよくおっしゃっていますが、そういう「ずるい人」からは嫌われたほうがよい…と納得できる本です。

4 論語と算盤 お金の大事なこと
(渋沢栄一 著/興陽館)

この7月に1万円札の顔になった渋沢栄一。「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」は二宮尊徳の言葉と言われ編集長が大事にしている言葉ですが、渋沢栄一も社会のために道徳を忘れず日本で数多くの事業立ち上げに関わってきた人だと思います。「今のまま仕事を続けていいのかな」と悩みながらも、志を忘れずにしっかり稼いで身を立てていきたいと思う人に読んでいただきたい一冊です。

5 知識ゼロからの謝り方入門
(山口明雄 著/幻冬舎)

ミスをしてしまって憂鬱。謝って許してもらえるだろうか…と悩む人へ。ピンチはチャンス。この本を読めば「ごめんなさい」の誠意を伝え、以前以上に信頼してもらえるかもしれません。チャレンジをすれば、間違いは起きます。そんなときはリカバーすればいいのです。
チャレンジというより事故や火の不始末といった深刻なトラブルはもちろんリカバーできないことのほうが多いですが、起こしてしまったという場合はこの本を頼りにしましょう。

6 池上彰の現代史授業
(池上彰 著/ミネルヴァ書房)

大事なことを誰にとっても分かりやすく解説する池上彰さんは編集長あこがれの存在。池上彰さんは多くの書籍を出版しており、こちらは現代史に関する一冊です。写真やイラストも多く、頑張らなくても現代史を学ぶことができます。

7 君たちはどう生きるか
(吉野源三郎 著/マガジンハウス)

6番目にご紹介した本の著者、池上彰さんも子ども時代に感動したというこの本ですが、こちらは現代の若い人にも読みやすいよう現代仮名遣いで字も大きくなっています。いじめ、貧困、格差といった問題に向き合う主人公のコペル君と叔父さんの姿から、現代を生きるヒントが見えてきます。

8 コブタの気持ちもわかってよ
(小泉吉宏 著/ベネッセコーポレーション)

編集長が若かりしころ、心が揺れ動きがちなときに出会ったのが小泉吉宏さんのまんがです。コブタ君の日常から、ラクに生きるための心との向き合い方や、コミュニケーションの考え方が見えてきます。編集長が読んだのは1993年発刊『ブッタとシッタカブッタ』(メディアファクトリー)。東久留米市立図書館にはないようなのですが、こちらもおすすめです。

9 うみのはなし
(かこさとし 著/童心社)

科学や道徳など、固め、重めのテーマを持ちながらもハートフルでかわいくてアーティスティックな絵本を多くのこされたかこさとしさんも、池上彰さんと同じく尊敬する作家さんです。海に潜ってみると、どんな世界が広がっているのか? 地球や自然に興味を持つきっかけになるかもしれません。大人が読んでも改めて「海ってすごい」と思える一冊です。

10 絵で見る化学のせかい

(かこさとし 著/偕成社)
「未来の科学者を育てたい」というかこさとしさんの思いからシリーズで発刊されています。2024年には、新たな学説も盛り込んだ刷新版も出ています。かこさとしさんの原画展を見に行ったのですが、丁寧で、深くて、温かい人柄が伝わってきます。科学に興味がなくても、まずはこの絵に触れて「ほっ」とすると、自然と中まで読んでしまうかもしれません。

以上、駆け足ですが2024年秋の選書をお届けしました。いずれも、『たまきたPAPER』の出版元・ことの葉舎の「大事なことをおもしろく」伝える本で、改めてこういった本に憧れながら『たまきたPAPER』もつくっているのだなと気づきました。

図書館は、一目で多くの本を目に入れ、すぐに手に取れる場所。そこから「本への相談」は始まっています。

私は「相談」というのが結構苦手ですが、図書館に行って目に留まった本を読むと、必ず「回答」が書いてあって、本を読み終わると「解決」しているのです。悩んでいる、でも誰にも言えないなという人、図書館や本屋さんに行って、全体を眺めながら歩いてみてください。そこにきっと、寄り添ってくれる本があります。

2003年の「ひとハコ図書館」選書

2022年の「ひとハコ図書館」選書

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