図書館の館長になる(選書をご紹介・後編)

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図書館の館長になる(選書をご紹介・前編)

図書館の館長になる(選書をご紹介・前編) 東久留市立中央図書館で、今、「図書館フェス」というイベントが開催されています。2015年から「本を作る人、売る人、読書がつながる活...

こちらでは、東久留米市立図書館のイベント「図書館フェス」「ひとハコ図書館」で置かせていただいた選書の前編をご紹介しました。

こちらは後編、選書の8~16をご紹介します。

展示中の「ひとハコ図書館」、冒頭の写真を送っていただきました。真ん中あたりに私の「ハコ」があって、たまきたがその上に載っています。うれしい!

「私が鳥になる日」装丁がかわいいと思っていたら、やっぱり前に置いてくださっていて、華やかになってまたうれしいです。本の楽しみ、全力で味わっています。

8・9 鷲の翼に乗って(上・下 ケン・フォレット著)

 こちらは1983年発表の古い本です。私も誰かの選書で知って取り寄せたのですが、今こそ読むべきかもしれないと思いました。

1979年のイラン革命後、アメリカの企業の会長が、投獄されたイラン駐在の社員を救出するストーリー。会長が私的に雇った元軍人の救出劇。現在も紛争が続く中央アジアの民族性がわかり、紛争の背景が見えてきます。実在したアメリカの実業家、ロス・ペローの実話が元になっています。「鷲の翼に乗って」いるようなスピード感で大陸を移動していく、その躍動感が一番心に残っています。

10 タラント 角田光代

タラントとは「使命」という意味。正義感である罪を犯した主人公。「跳ぶ」人に勇気づけられていく祖父。戦争のために、社会課題の解決のために持つ「使命感」が人を翻弄もする。「思想」とは何か、考えさせられます。

登場人物の一人が戦争で足をなくしているのですが、以前、乙武洋匡さんが義足で歩けるようになったニュースに感じるところがあって、この本をご紹介したくなりました。

あるローカルフードも登場するのですが、たまきたで連載している武蔵野うどんに通ずるところがあります。

https://www.chuko.co.jp/special/talant/


11 飛龍伝 つかこうへい

今思えば、「かこさとし」「つかこうへい」をこうやって並べることの違和感というか、でも私の中では共通点があって、社会に真っ向から向き合い、美化させずに伝えている人たちなのですが。学生時代に演劇をしていて、当時よくアマチュア劇団も上演していたシナリオの一つでした。北区つかこうへい劇団(解散)によって何度も上演されてきましたが、つかこうへい逝去後は北区AKT STAGEによって現在も上演されています。

ここで飛ぶのは「飛龍」という石。1960年代半ばの安保闘争に関連する学生運動で、リーダーとなった神林美智子が主人公。実在した女性活動家がモデルです。

若さのリアル、人間のリアル、学生運動のリアルが描かれています。学生運動は昔の話ではないと、取材をしていると感ることがあります。私の世代では、懐かしいと思う方もいると思います。


12 鳥は飛ぶのが楽しいか チャン・ガンミョン

最近は韓国文学も人気ですよね。新聞社の社会部から、作家になった方で韓国社会をリアルに描いていて、「鳥は飛ぶのが楽しいか」タイトルから考えさせられました。

第1部 切る
バイトをクビに
待機命令
工場の外で

第2部 闘う
ヒョンス洞パン屋三国志
人の住む家
カメラテスト
対外活動の神

第3部 耐える
みんな、親切だ
音楽の価格
鳥は飛ぶのが楽しいか

部名、目次を見るだけでも、内容がなんとなくわかるところも新聞関係の方らしい。新聞記者から作家になった塩田武士さんも好きなのですが、新聞記者への憧れが選書にも表れていますね。

13 ことり 小川洋子

街中でおそらく誰もが見かけたことのある、「ちょっと遠巻きに見てしまう人」。「小父さん」は一切の悪気がない。でも社会の端っこにいる。この本でも、正義とは何か、と考えさせられます。静かで淡々とした文章ですが、心の奥底を突いてくる文。人を傷つけるつもりがなくても嫌われたり、怖がられたりする。でも怖がる人も、その人の本質はわからないから仕方がない部分もある。そういうところがひりひり痛いのです。

いつか、ことりは飛んでいくのでしょうか。小父さんは、自分が飛ばなくてもいいのかもしれません。


14 カラー版 身近な鳥のすごい食生活(唐沢 孝一著)

人間でも、食べることには多くの人が興味津々。鳥だってそう。あの鳥は、このためにこんなものを食べていたのか…! 食べ物からひもとく鳥の行動に、驚きがいっぱいです。これを読んでから、野鳥が何かを食べている様子を立ち止まって見るようになりました。写真を見るだけでも楽しいです。私も表紙のスズメがかわいくて、手に取りました。先日、カラスが何か食べているなと思ったら食べているのはネズミで、怖かったのですがカラスはまちのお掃除やさん。彼らが食べてくれるから、小動物の死骸をあまり見かけなくて済んだりします。そういう視点が手に入るのも、面白いところです。


15 沈黙の春(レイチェル・カーソン著)

こちらは少々「とぶ」に強引に結びつけましたが、科学者の方に話を聞くと、この本に感銘を受けたという方が多いのです。殺虫剤や農薬などの危険性にいちはやく警鐘を鳴らした本。「鳥が鳴かなくなり、生き物の出す音がない、沈黙する春」という冒頭。私自身、薬剤を一切使用しない生活はできないのですが、でも立ち止まって考えなければならないと思いました。

2013年に立川経済新聞で私が書いた記事(Yahoo!トピックスにも載りまして、ラジオで伊集院光さんも紹介してくれたんですよ…自慢)

https://tachikawa.keizai.biz/headline/1490/

この記事のことも思い出しました。面白く書いていますが、はっとしたんですね。「虫を展示しているところに虫除けを振りまいた体で入っては虫が苦しい」という。展示されている虫も、よけられている虫も同じ虫…いろいろまた、考え込んでしまいます。レイチェル・カーソンの著作ですと、「センス・オブ・ワンダー」のほうが読みやすく、これも科学者の方がよく挙げる本です。彼女の愛情深さも伝わってきて、何か社会に役立つことをするならばこうありたい、と思っています。

 

16 空港をゆく 改訂版(イカロス・ムック)

こちらは、飛ぶ、飛行機の話。私は実家が遠いので、若いころから年に数回飛行機に乗るのですが、ここ数十年の空港システムの発展には本当に驚いています。飛行機そのものも、いまやタブレットがついていたり機内誌が電子化されたり、コロナ禍でもまた急激に変化しましたね。そんな空港に興味を持ったら、旅がまた楽しくなります。

 

終わりに

ということで、16冊の本をご紹介しました。11月30日まで、東久留米市立中央図書館にて、ほかの16人の皆さんの選書といっしょに展示されています。

たまきたも一緒に置いてもらったのですが、たまきたたはもう品切れになったそうでうれしい限りです。次号からも東久留米市の図書館で設置させていただきますので、東久留米市の皆さん、どうぞお手に取ってくださいね。たまきた冬号でも、「図書館フェス」記事を掲載しています。

「図書館フェス」担当の湯田さん、ここまで私があれこれご連絡するとは思わなかったと思います。根気よく温かく対応してくださって、ありがとうございました!!

たまきたは、北多摩の図書館にたくさん設置させていただいていて、たまきたでよければこれからも協力させていただきたいと思っています。各地の図書館関係者の皆様、お役に立てることがあれば、ぜひご相談ください。

編集長 原田あやめ

 

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