写真とおはなし(プールのねこ、とカモ)
前号の話になりますが、「プールのねこ」というおはなしを掲載しました。
幼稚園特集の横のページに、おとなもこどもも楽しめるような何かを入れようと考えていて、ふと思いついたのが絵本のようなものを入れること。秋の写真を見ていて、編集部のそばの東大和南公園にある市民プールにいた猫の写真が目に付きました。
警戒心の強い地域猫の目。でも、ボランティアの方々が世話をしてくれるので、すべての人間を拒絶しているわけでもないという感情のようなものが、猫の目から感じられました。
絵本をつくりたいというのは昔から思っていてプロットはあるのですが、「いい子ちゃんすぎない」というのはとても意識しています。
自分が、小さいころから「いい子ちゃんすぎる」ものが苦手だったんですね。どちらかというとリアルの中の美しさや、強さにひかれていて「おともだち100人つくろうね」「誰にでも優しくね」という感じにそっぽを向いてしまうところがあるのです。
それで、この猫と、でも猫が少しだけ人を求めている感じを言葉の端からくみ取る少し大人っぽい女の子の言葉を描きました。
これを書いた編集長は作家ではないので、掲載するのは躊躇しました。
自分ではいいおはなしだと思っても、読者が見たら「なんだこれ」とあきれるかもしれない…。
でも、出してみなければ反応はわからないので、思い切って掲載してみることに。
そうすると、読者アンケートの結果は思いのほか良くて、「子どもに読み聞かせをしました」という声もありました。
さらに、ある日、編集部に電話がかかってきました。
「『プールのねこ』、読むと涙が出てきて、3回朗読したのよ」と年配の女性から。
おとなもこどもも楽しめる、という点はクリアしているようです。
秋号は、たまたま12Pに増ページしたので掲載できたのですが、通常は8ページなので冬号は「写真とおはなし」を掲載できませんでした…というか、いろいろあってずっと8ページの予定なので、この先、掲載できないのですよね。なんとか、違う形で絵本のようにつくれないものか、考え中です。
これを思い出したというのが、今日、ねこがいたプールにカモがいて、たくさん撮影したからでして。
Instagramに掲載しましたので、まるまるのカモたちも、ご覧ください。
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原田あやめ